俳優金城武を起用したGEOS会社案内の表紙。地球のビジュアルと「英語を話せると、10億人と話せる。」のコピー。
俳優金城武を起用したGEOS会社案内の表紙。地球のビジュアルと「英語を話せると、10億人と話せる。」のコピー。
自由の女神のダイナミックな写真と「日本から、世界へ。」というキャッチコピーを配した、ブランド紹介のページ。
世界地図と拠点写真を配したネットワーク紹介。グローバルなスクール展開を視覚化したインフォグラフィック。
笑顔で会話する女性たちの写真と、独自の学習システムを5つの要素で示したカラフルな図解チャート。
外国人講師のレッスン風景と、講師の質を支える採用・研修制度を整理したグリッドレイアウトのページ。

グローバル展開を加速させるブランド・アイデンティティの再構築

本プロジェクトは、かつて日本最大級の英会話スクールとして全国展開していた「株式会社ジオス(GEOS Corporation)」のコーポレートブロシュア(企業案内)およびブランディングデザインです。 1973年に徳島で産声を上げた同社は、外国語教育のパイオニアとして、英語のみならず多言語展開を積極的に進めていました。 制作当時、同社は「世界(Globe)」「教育(Education)」「最適化(Optimization)」「システム(System)」の頭文字を冠したブランド名に相応しく、教育機関としての信頼性と、グローバル企業としての先進性を両立させた視覚伝達が求められていました。 本解説では、単なる情報整理に留まらない、エディトリアルデザインとロゴデザインの統合的なアプローチについて詳述します。

デザインにおける「思考の根拠」と戦略的アプローチ

デザインの主眼に置いたのは、スクールとしての「親しみやすさ」と、上場企業(当時)としての「ガバナンスを感じさせる規律」の融合です。 グリッドシステムを厳格に適用したレイアウト構造により、情報の可読性と知的信頼感を担保しながらも、余白(ネガティブスペース)を大胆に活用することで、未来への広がりを表現しました。
  • 黄金比に基づいたグリッドレイアウトの採用: 誌面構成においては、プロフェッショナルなグラフィックデザインの標準であるグリッドシステムを導入しました。特に見出しと図版の配置には黄金比(1:1.618)の比率を意識的に取り入れ、直感的に「美しい」と感じさせる視覚的バランスを構築。これにより、多言語教育という複雑な情報群を、ストレスなく読み手に届けるエディトリアルデザインを実現しています。
  • ブランドカラーの象徴性と色域設計: ジオスのブランドアイデンティティを象徴するブルーを基調としながら、グローバルな多様性を表現するためにアクセントカラーの階層化を行いました。印刷工程においては、プロセスカラー(CMYK)では再現しきれない彩度を補完するため、特色(DIC/PANTONE)の使用を前提とした色域設計を行い、パンフレットを手にした際の発色から「質の高い教育サービス」を想起させるブランド価値の具現化を図っています。
  • タイポグラフィと情報の階層構造(Hierarchy): 欧文フォントと和文フォントの混植において、視覚的なウェイト(太さ)の調整を緻密に行いました。欧文には視認性の高いサンセリフ体を採用し、グローバルスタンダードな印象を付与。一方で和文は、誠実さを伝えるモダン角ゴシックを選択しています。情報の優先順位に基づき、フォントサイズ、行間、カーニングを1pt単位で調整することで、膨大なカリキュラム情報をシステマチックに整理しました。
  • ステークホルダーの信頼を醸成するビジュアルストーリー: 単なる教室紹介に終わらせず、創業の地である徳島から全国、それから世界へと広がった同社の軌跡を、ドキュメンタリー的な視点の写真とタイポグラフィで構成。代表者の経営哲学や講師陣の専門性をダイナミックな構図で配置することで、受講検討者のみならず、法人顧客や採用候補者といった多様なステークホルダーに対しても、「教育の質」を直感的に訴求するブランディングを行いました。

結論:教育の価値を可視化するエディトリアルデザイン

このコーポレート・ブロシュアのデザインは、単なる紙媒体の制作ではなく、企業の「志」を可視化するプロセスそのものでした。 現在はNOVAホールディングスへとその事業が承継されていますが、当時、多言語教育の普及に尽力したジオスのブランド精神は、この一冊のブックレットの中に凝縮されています。 情報の機能的な整理(デザインの外面)と、企業の存在意義の表現(デザインの内面)が高度に一致したとき、はじめてブランドは顧客の心に深く刻まれます。 本プロジェクトで培った「論理的思考に基づいた視覚伝達」のノウハウは、現在のMARZ DESIGNにおけるクリエイティブ戦略、すなわち最新のデジタルメディアへの最適化を見据えたデザインワークの根底にも深く息づいています。 一貫したデザイン言語を用いることで、企業の歴史と信頼を形にする。それが、私が追求し続けるエディトリアルおよびブランディングデザインの真髄です。
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