色鮮やかな発泡樹脂製のコップやボウルを並べた背景に、JSPアニュアルレポート2013のロゴ。

Concept Design for Competition (CDC)

色鮮やかな発泡樹脂製のコップやボウルを並べた背景に、JSPアニュアルレポート2013のロゴ。
深い紺色の背景に、光のラインが幾重にも交差する抽象的なデザインのJSPアニュアルレポート表紙。
太陽の光を背に岩山に立つ男性のシルエットと「REACHING HIGHER」のメッセージ。
夕焼け空の下、切り立った崖を懸垂下降するクライマーのシルエットを配したJSPのレポート表紙。
白い高級車のフロント部分と、背景のストライプ壁面に配置されたJSPのタイトルロゴ。
世界地図と各地域の責任者の顔写真を配し、グローバルな事業展開を説明する見開き誌面デザイン。

JSP AR2013:発泡樹脂の可能性とサステナビリティを繋ぐエディトリアル戦略

プロジェクトの背景とデザインコンセプト

本プロジェクトは、発泡樹脂のリーディングカンパニーである株式会社JSPの「アニュアルリポート 2013」に向けた、コンペティション用のデザイン提案です。 惜しくも本採用には至りませんましたが、1962年の設立以来、独自の技術で社会に貢献してきた同社の「サステナビリティ経営」と「未来世代への責任」をいかに視覚化し、投資家やステークホルダーに伝えるかを追求しました。 デザインの核に据えたのは、「Materializing Tomorrow(明日を形にする)」というコンセプトです。 発泡樹脂という素材が持つ「軽量」「断熱」「緩衝」といった機能的価値が、どのように持続可能な社会の実現に寄与しているのか。 その因果関係を、洗練されたエディトリアルデザインを通じて物語化することを目指しました。
  • 素材の空気感を伝えるホワイトスペースと透明性の設計: 発泡樹脂の軽やかさや清潔感を表現するため、誌面全体に大胆な余白(ホワイトスペース)を配置。情報の密度をコントロールすることで、読み手の視線を自然に重要なメッセージへと誘導し、企業の透明性とクリーンな経営姿勢を直感的に印象付けるレイアウトを構築しました。
  • グローバル展開を象徴するダイナミックなビジュアル要素: アジア、南北米、欧州と世界各地に拠点を持つJSPのグローバルな影響力を示すため、地図や拠点のインフォグラフィックを独自に制作。世界を舞台に活躍する従業員の熱意や、地域社会に根ざした事業活動のスケール感を、高精細な写真とタイポグラフィの融合によってダイナミックに表現しました。
  • 複雑な技術・財務情報を整理するグリッドシステムと図解: 土木・建築から梱包材まで多岐にわたる事業内容を整理するため、厳格なグリッドシステムを導入。専門用語が多い製品解説や、資本金101億円規模の強固な財務基盤を示すグラフについては、ピクトグラムやカラースキーマを効果的に活用し、専門家から一般の投資家までが等しく理解できる「情報のアクセシビリティ」を追求しました。
  • 未来への意思を示すコーポレートカラーの再定義: JSPのブランドアイデンティティを尊重しつつ、環境調和や次世代への優しさを想起させる色彩設計を採用。サステナビリティ報告セクションでは、素材の進化がもたらす「社会へのグッドインパクト」を強調する配色を行い、単なる数字の報告を超えた、企業の存在意義(パーパス)を訴求する意匠を凝らしました。

デザインの総括:思考の痕跡としてのプロトタイプ

このプロポーザルは最終的に実を結ぶことはありませんでしたが、作成過程で試行した「目に見えにくい素材の価値を、いかにして企業の信頼へと転換するか」という問いは、私のデザインワークにおける重要な指針となっています。 特に製造業のアニュアルリポートにおいては、製品のスペック以上に、その背景にある「経営哲学」や「社会との接点」をデザインの力で顕在化させることが求められます。 コンペ案という自由な枠組みの中で、JSPが掲げる「未来の世代にもやさしい社会づくり」という強い思いを、紙面という限られた空間に凝縮させたこの作品は、私のエディトリアルデザインに対する誠実なアプローチを象徴するものです。 技術と環境が共生する未来を、論理的かつ情緒的なデザインで繋ぐ。 その思考のプロセスこそが、本採用案に勝るとも劣らない価値であると確信しています。