mamatubu EC site 2012:和雑貨セレクトショップのアイデンティティを構築する新規ECサイト構築
新規設立された「mamatubu(ままつぶ)」のブランド立ち上げに伴い、その中核となるECサイトの設計デザインをトータルで担当しました。
数多あるオンラインショップの中で、新興のセレクトショップがいかにして信頼を獲得し、独自のポジションを確立するか。
その解として、単なる「販売プラットフォーム」ではなく、オーナーの審美眼と商品への深い洞察を可視化する「ストーリーテリング型EC」としてのブランディングを追求しました。
本プロジェクトでは、和雑貨の持つ静謐な美しさをデジタルの領域で表現するため、アートディレクションからUI/UXデザインまでを一貫して設計しています。
情報の信頼性を担保する幾何学的構成と、情緒的なユーザー体験の両立
新規開店という初期段階において最も重要な「信頼感」を醸成するため、視覚的な安定感と、ユーザーの探索意欲を削がない機能的なナビゲーションの両立に注力しました。
- ブランドの思想を体現するロゴデザイン:「mamatubu」というネーミングに込められた、小さくとも確かな存在感を放つ商品の魅力を象徴するロゴを策定。シンプルながらも記憶に残る造形により、新規参入ブランドとしての認知拡大に寄与。
- 和の情緒と視認性を両立するブランドカラーの選定:和雑貨が持つ伝統的な色彩感覚を現代的にアップデートしたカラーパレットを構築。商品の色彩を妨げず、かつサイト全体に統一されたトーン&マナーを与える戦略的な配色を実装。
- 多角的な商品分類によるユーザビリティの向上:「使用用途別」および「取り扱いブランド別」という二軸のカテゴライズを実装。目的買いのユーザーには最短の導線を、発見を楽しみたいユーザーにはセレンディピティ(偶然の出会い)を生む回遊性の高いUIを設計。
- 「目利き」のプロセスを可視化するコンテンツデザイン:オーナー自らが製造現場へ赴き、厳選した一品であることを伝えるためのレイアウト。スペック情報のみならず、実際に使用して得られた「使い勝手」を丁寧に紹介するための専用領域を設け、購入後の生活イメージを想起させる情報設計を徹底。
- ブランドの思想を伝えるビジュアル・アイデンティティ:セレクトショップとしての個性を際立たせるため、和の色彩設計とタイポグラフィを現代的に解釈。新規開店からファンを定着させるための「mamatubuらしさ」を視覚的に定義。
- 黄金比を基軸としたグリッドレイアウトの採用:誌面構成に黄金比(1:1.618)を導入することで、余白と要素のバランスを数学的に最適化。和雑貨が持つ伝統的な美意識とモダンなWebデザインを調和させ、閲覧者に無意識の安心感を提供。
「人」を介した価値の伝達が、ECサイトに永続的な生命を吹き込む
本サイトのデザインにおいて最も重視したのは、オーナーの「熱量」をいかにしてデジタルデータに変換するかという点です。
自動化された大規模ECとは対極にある、一つ一つの商品を慈しむような紹介スタイルは、サイト全体に温かみと説得力を与えています。
デザインの役割は、その「こだわり」を邪魔することなく、むしろ際立たせるための良質な背景として機能することにあると考えました。
このECサイト構築プロジェクトは、新規ブランドが市場へ参入する際の「信頼の器」をデザインしたものです。
黄金比による普遍的な美学と、オーナーの情熱を汲み取った情報設計を融合させることで、単なる購買体験を超えた、ブランドと顧客を結ぶ持続的な接点を創出しました。
それは、デジタルな領域であっても「人の介在」を感じさせる、血の通ったブランディングの実装事例と言えます。